更年期障害
  • 病名
  • 更年期障害
中医学で女性の一生は7の倍数で変化していくと言われ、14歳で生理を迎え、21歳〜28歳に最も女性ホルモンの活動が活発になり、49歳で生理が終わると言われています。
思春期から大人の女性に成長して、子どもを生み育て、やがて女性ホルモンの分泌が弱くなり、生理が来なくなる50歳前後5歳の45歳〜55歳が、一般的に更年期と言い、その時期に現れる頭痛、肩こり、不眠、などの色々な身体的症状やイライラや不安感、突然わき起こる悲しみなどの精神症状を更年期障害と言います。


【更年期障害とは】
これは、卵巣(卵子を作り、保存する場所)の機能が変化し始めるからです。エストロゲンと呼ばれる女性ホルモンは、体内バランスを整える、とても大切な働きをしています。このエストロゲンの変化により、身体にトラブルが起こる事を、更年期障害と言います。

更年期障害の症状は頭痛や肩こりのように慢性的につらい不定勝訴が多く、不安感やイライラするなどの精神症状をともなうので、病院で検査してもどこといって悪いところもなく、原因が判らず、対症療法的に薬を処方されたり、精神科や神経内科で安定剤や睡眠薬を処方されることが多いですが、その効果は限定的です。
また、ホルモン療法もありますが、改善した症例は少なく逆に副作用があり、体調を崩す方も少なくありません。


更年期障害は、多くの女性が悩む病気です。原因不明と言われることも多いです。
更年期障害を治すためには、更年期障害の原因について知る必要があります。

更年期障害の症状は、しっかりと治療をすれば改善する病気です。


【早期更年期障害の主な症状】
肩こり、腰痛、胸の痛み、のどの渇き、頻尿、しびれ、震え、体重減少、倦怠感
めまい、ふらつき、耳鳴り、骨粗しょう症、異常な汗、月経不順、不正出血
おりものの異常、膀胱炎、排尿痛、残尿感

など様々な身体の不調がおこります。

また、

うつ症状、パニック症状、不安感、やる気のなさ、イライラ

などの、精神的な不調も起こりやすく、どれもが本当に苦しい症状ばかりです。


【自律神経症状】

女性ホルモンのエストロゲンの分泌調整をしているのは脳にある視床下部という部分ですが、視床下部は自律神経の調節もおこなっているので、ホルモンバランスが崩れると自律神経のバランスも乱れてしまうのです。
ですから検査で分からない更年期障害の原因として、自律神経の乱れがあります
自律神経とは、身体をいつも正常状態に保つために働く、大切な身体の仕組みです。自律神経には、交感神経系と副交感神経系があります。例えば、交感神経系は、身体を活動的にする命令を出します。反対に、副交感神経系は、身体をリラックスさせる命令を出します。この自律神経が、バランス良く働いてくれるおかげで、身体は正常状態でいる事ができます。ところが、ホルモンバランスが崩れたり、厳しい環境によるストレスで自律神経の乱れなどが更年期障害の症状を引き起こします。主婦の方・お仕事で頑張られている方は、忙しさのあまり、ご自分の不調は、そのままにされている方が多いです。この結果、自律神経のバランスに乱れが生じます。これらの方に、更年期障害の症状が起こります。更年期障害の症状を治すためには、ホルモンバランスと自律神経の乱れを治さなくてはなりません


【鍼灸治療の目的】

更年期は絶対に更年期障害がおこる時期ではありません。実際に更年期のつらい症状を感じることなく老年期を迎える方もおられます。
更年期の辛さから、プラセンタ療法やホルモン療法で一次的にホルモンバランスを保とうとしても、死ぬまで生理があってよいわけがありません。
誰でもいつかは閉経を迎え、女性ホルモンが分泌しない状態で生活しなければならない。更年期に女性ホルモンが減少するのは自然の摂理であり、ありのままを受け入れて、日々の生活習慣や人間関係の中で自分の身体のケアをして、精神の安定を図り、急激に変化する内部環境に対応することが重要なのです。

鍼灸治療は陰陽の平衡を保ち、日々変化していく女性の体の状態に対応して、気血水の滞りを無くし自律神経のバランスを保ち、不定愁訴を一つ一つ治療して、体の不調を無くしていくことで不安感を解消して、自然に体の変化に対応できるようにサポートします。


  • 原因
  • 更年期障害の鍼灸治療
更年期障害は各個人で症状があまりにも違うので、実際にはもっと多くの証に分別されるが、ここでは非常に大ざっぱに4つの証に弁別して、治療法を紹介しします。

①心腎不交

心腎不交症は不眠を主訴として心火亢盛、腎水虚弱を伴う事を弁証のポイントとする。
(症状)
心煩、不眠、動悸、不安感、眩暈、耳鳴り、健忘、腰痛、腰部から下肢にだる痛さや冷感を感じる、遺精、五心煩熱、咽乾口燥、舌紅、脈細数
(治法)
交通心腎

②心脾両虚

心脾両虚は動悸、不眠、顔色が萎黄、精神不振、食欲不振、腹部膨満、溏便及び慢性出血を弁証のポイントとする。
(症状)
動悸、不眠、多夢、眩暈、健忘、顔色が萎黄、食欲不振、腹部膨満感、溏便、精神不振
皮下出血、女性では生理量が少なく色が淡い、生理不順、舌質淡嫩、脈細弱
(治法)
補益心脾

③肝鬱気滞

肝鬱気滞証はイライラした精神状態でわき腹から上肢の痛みや胸脇の張りが弁証のポイントです。
(症状)
イライラして怒りっぽい、腹から上肢の痛みや胸脇の張り、胸が苦しい、ため息をつく
咽喉部に異物が詰まったような感覚がある(梅核気)、女性では乳房の張りと痛み、積聚
(治法)
疏肝理気、破積散聚

④痰迷心竅

鬱やノイローゼの症状が強いのが特徴です。
(症状)
胸悶心痛、精神錯乱、卒倒、人事不詳、喉で痰の音がする、苔白膩、脈浮あるいは滑(治法)
化痰開竅

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