鬱病
  • 病名
  • 鬱病
当院を訪れる患者さんの多くは、首や腰の痛みや可動域不足などの、骨格や筋肉の症状を訴えて来院されますが、その半数以上の方に不眠、便秘、食欲不振、倦怠感などの不定愁訴を抱えておられます。
日本人の15人に1人が鬱病患者と推定され、およそ300万人いると言われていますが、その内の4人中3人が医療機関を受診していないのが現状です。
実に230万人の鬱病患者が医療機関にかからずにいる事になるのですが、その多くは知識不足から自分が鬱病である事を自覚できないからだと言われています。
従って、ほとんどの鬱病患者は自分が鬱病である事を自覚せずに、身体的な不調に悩まされ、病名が分からないままに来院されます。
主な症状は、疲労感、倦怠感、睡眠障害、頭痛、肩こりなどです。
当院の問診票で、上記の症状意外に意欲や興味の低下、仕事能力の低下、抑うつ気分、不安感などの症状があると答えた方は、「鬱症状」と考えます。

鬱症状がおこるものには他にも自律神経失調症や認知症やパーキンソン病、薬の副作用など鑑別診断が必要です。また、精神疾患の仲間では双極性障害(躁うつ病)、適応障害、統合失調症などの鑑別が必要ですが、専門家でもこれらの鑑別は難しく、当院では攻撃性のある統合失調症以外は、全て鍼灸治療の適応症として治療し、非常に高い効果を得ています。
  • 原因
  • 原因と治療
【原因】
鬱を引き起こす3つの原因
①心理的なストレス
家庭での子育てや親の介護、仕事でのトラブルや対人関係、金銭的トラブルや生活のみだれ、過労など、様々な精神的ストレスがきっかけとなる。

②脳内の変化
ストレスなどが引き金になり、脳の神経が変形したり、神経細胞同士の情報伝達物質が減少するこどで、脳の働きのバランスが崩れる。

③なりやすい体質
親子や兄弟のなかに鬱病の人がいると、鬱病の発病する確率が1.5倍〜3倍高くなることが分かっている。また、胎児期や幼い頃に強い恐怖感を感じると、脳の大脳辺縁系の海馬という部分が異常に発達し、必要以上に不安感や恐怖感を感じてしまい、鬱病になりやすい体質となる。

【治療】
鬱病の治療は軽度、中等度、重度によって治療法が変わります。

①軽度
症状が軽く、社会生活ができている人にいきなり抗うつ薬を使用すると、副作用ばかりが出る恐れがありますので、通常は使いません。
軽度の方の治療は環境調整と支持的精神療法が中心で、鍼灸治療がもっとも効果を発揮するのもこの時期。

②中等度、重度
中等度、重度になると、社会生活や日常の家庭生活をも脅かされ、最悪の場合は自殺するケースも珍しくありません。
脳の神経伝達物質の働きを高める抗うつ薬を使い、薬物療法を加えます。また、物事のとらえ方が大きく偏っている場合には、精神療法の1つである認知行動療法なども行う。
この時期は抗うつ薬の副作用で、頭痛、倦怠感、食欲低下、吐き気などがあらわれるので、鍼灸治療で副作用を抑えていきます。
  • 原因
  • 鍼灸治療
中医学には病気になる原因を内因、外因、不内外因と3つに分けています。
特に内因には「七情の気」といって、(怒り、喜び、思い、憂い、悲しみ、恐れ、驚き)などの、精神状態が過度に働くことによって病になるという、西洋医学では1936年にハンス・セリエがストレス学説を唱えるよりも、2000年以上も前から、精神的ストレスが病気の原因になることを唱えていました。
それだけに、鬱病その他の精神疾患に対する治療法も非常に多岐にわたり存在します。当院では、中医学的伝統的鍼灸治療による、根治を目指す根本療法を基本にしっかりと治療していきます。
また、必要に応じて最新の脳科学による眼窩前頭皮質(DLPFC)のエリア(頭臨泣)に針を刺して、低周波通電する、脳針療法も行っています。

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