- 自分自身にしか治せない痛みがある
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心因性疼痛という痛みがある
非常に悲しい出来事や恐怖体験
強いプレッシャーを感じたり
パートナーやペットとの死別など
何か精神的に大きなショックを受けると
脳の痛みのコントロールセンターが
機能不全をおこしてしまい
どこも悪くないのに激痛を
感じてしまうことがある
私は一昨年の12月に兄が
ステージ4の癌である事を知り
非常にショックを受けた
その2カ月後から大腿部や膝、足の裏など
下肢のいたるところが痛くなり
足を着くだけで激痛で顔がゆがむほど
ひどい状態になってしまい
自分で診察しても今まで
こんな患者さんを診たことないような
奇妙な症状だったので
膠原病や本当に珍しい難病を疑い
定期健康診断でお世話になっている
クリニックへ行き
「まったく分からない痛みなので
血液検査してもらえませんか?」と
お願いしたぐらい本当に痛かったのだ
検査結果は何も異常なしだったので
「これが心因性疼痛なのだ」と
確信することができた
「心因性疼痛」
これは脳の暴走である
実際には炎症も損傷も何もないのに
脳が勝手に痛みを感じている状態
例えるならクマがいないのに
クマがいるように思って怖がっている
これは他人には治すことはできない
そこにクマがいるのなら退治できるが
実際にはいないものは他人には
退治できないのである
このクマを退治できるのは自分自身しかいない
だから自分自身で努力してクマを退治する術を
身につけるしか治療法がないのである
この痛みが心因性疼痛であると私自身が
自覚して「さてどうしようか?」と
思いついたのが旅行だった
実は3月に旅行に行く予定をしていたが
足の痛みでキャンセルしていたが
「心因性疼痛なら勘違いの痛みなので
我慢して歩いているうちに治るだろう」
そこで4月の初めに彦根城に行ってきた
旅行中は両手に杖を持ち
激痛に顔をゆがめて必死で自分と戦った
すると帰宅した翌日から
霧が晴れたように痛みが解消し
ウソのように痛みから解放されたのだ
心因性疼痛はどんなカリスマ治療家でも
誰にも治す事ができない病気だ
だから
どこかの誰かに治してもらおうと思って
あちこちの治療家を渡り歩いている
間はどんどん症状が悪化していく
「この痛みはまぼろしなのだ」と
自分自身が戦う気持ちになり
真正面から病気と戦った人だけが
この病気を克服できる
他人には治すことのできない
自分自身にしか治すことが出来ない
痛みがあるのです。
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