- 面識のない祖父に身内の親近感を持った
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私が生まれた時には父方も母方も
どちらの祖父も亡くなっていて
遺影でしか知らなかったので
この年になるまで祖父の事を
考えた事は一度もなかった
先日祖父が生前業界誌に寄稿した文が
出てきたので父が編集して本にしてくれた
表紙には私が知っている遺影ではなく
背広を着て優しそうに笑っている
祖父の写真だ
66才で亡くなっているので
この元気そうな写真は60才ぐらいかな?
今の私とそんなに変わらない年頃の祖父の姿だ
顔は父の弟の叔父さんとよく似ていて
背広の着こなしがダンディーだ
父もそうだが背広が良く似合う
祖父の文章には信念を貫く
強烈な力強さがあり
明治、大正、昭和と激動の時代を
駆け抜けた自信と気高さを感じた
時代的に言い回しが少し難しいが
実際にあった事や経験したエピソードを
とても臨場感をもって書かれていて
まるで祖父が大勢の人を前に
身振り手振りを交えながら
講話をしているよに書かれているので
ひき込まれて一気に読んでしまった
そしてこの人が生きていたら
絶対講話を聴いてみたいと
思うほど説得力のある文章だった
「おじいちゃんは偉い人やったんやで」と
父や母から訊いてはいたが
実際に祖父の文章に触れてみて
それが真実だと理解した
生まれた時に既に亡くなっていたので
この歳まで祖父の事を考えたことも
人となりを想像しようとしたことも
無かった
私の中で祖父は歴史上の人であり
家族という感覚はなかったのだが
祖父の文章に触れたことで
面識もないはずのおじいちゃんが
天から私を見守ってくれているような
身内の感情が芽生え
「もう少し長生きしてくれていたら」と
家族が増えたような不思議な
気分になったのでした
これからはお墓で手を合す時には
今までと違う親近感で祖父のお墓に
話しかけるだろう(笑)
この本を編集してくれた父に感謝です。
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