• 2025/11/19
  • 院長のひとり言
雅楽の伝承

私は20年以上雅楽の横笛である
龍笛という笛を吹いている

雅楽では打楽器や弦楽器もあるが
主旋律や伴奏などは主に
「鳳笙」「篳篥」「龍笛」の
3つの管楽器で演奏される

鳳笙はベースとか伴奏の役割
篳篥はボーカルの役割
龍笛はイントロの音頭取りと
コーラスのような役割をする

龍笛の難しさの一つは
音を鳴らすのにものすごい量の
息が必要ですぐに疲れてしまうことだ

ドラマで清少納言や牛若丸が
静かに軽やかに龍笛を吹く
シーンが印象的だが

実際に龍笛を吹くと静かに
息を入れてもまったく音が出ない

初心者は思いっきり吹かないと
音が出ないので5分も吹くと
頭が痛くなって限界がくる

また

龍笛に限らず雅楽は1300年も前に
日本に伝わってきた音で
楽器もその当時のまま楽器で
煤竹(すすたけ)という
天然の竹で職人が手作りで
一本一本作るので微妙に
音に違いがあって

正しく指を押さえていても
同じ音が出ない

だから常に自分の耳で音を確認
しながら指の押さえ方や息の入れ方
吹く強さなどを調節しながら
吹かなければならない

そんな苦しくて難しい笛だから
とっつきにくいが

それだけに奥が深くて
次から次へと課題が見えて来て
これでOKとならないので
いつまでも修行であり
それが楽しいのである

今年「国宝」という歌舞伎の
映画が世界的に大ヒットしたが
日本の伝統文化は世界に誇る事が
できるだけの素晴らしいものだのだ

雅楽は歌舞伎や能狂言の元となる
最も古い日本の固有文化であり

「この伝統文化を若い人たちに
受け継いでもらい日本人の
誇りを守ってもらいたい」と

私が現在習っている四天王寺楽所では
Z世代の人達に雅楽に親しんでもらう
活動をしているので
私も賛同している

ご興味のない人でもどこかで
雅楽が聴こえてきたらぜひ一度
立ち止まって聴いてみて下さい

なんとなく懐かしい感じがするのは
我々の前世で聴いていたのかも
しれないと思うのは私だけかな?(笑)

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