- 痛みは精神状態によって強くも弱くもなる
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先日鼠経ヘルニアの手術を受けたが
手術が終わって直後のことである
「かじむらさん起きてください」という
声が聞こえてきて
あれ、ここはどこだろうか?
そうだ、手術をしてもらっていたのだ
これからか?いや、もう終わったか?
などともうろうとした頭でいろいろ
思っていたが
「かじむらさん、終わりましたよ」という
看護師さんの言葉で手術の終了を知った
その後されるがままにベッドを移動して
病室へ運ばれて病衣を着替えてもらい
徐々に意識がはっきりしてきて
ぜんぜん体を動かすことができないな
うん?唾が飲み込めないぞ
などと思っていると
「かじむらさん、痛くないですか?」
え?それは痛いでしょ
「痛いです、めっちゃ痛い」
おかしなもので
それまで手術したのだから
まったく身動きもできないほど
痛いのが当然と思っていたのに
看護師さんに痛み止めをもらえば
この痛みから逃れられるかもしれない
と思った瞬間から手術した患部が
猛烈に痛くなったのである
「痛み止めの点滴がもう終わってしまって
次は4時間以上あとになってしまいます」
「えー?そんな-むりむり」
そこへ家内が来てくれて
「大丈夫?我慢できる?頑張って」
などと励ましてくれると
だんだ痛みがパワーアップして
「痛い痛い痛い、あー痛い」などと
泣き言を口にしてしまう
「とにかく4時間は我慢してください」と
看護師さんが退室してしまい
家内も私を寝かせたほうが良いと判断して
「今日はもう帰りますね」と帰ってしまった
一人病室に取り残された私は
マジか?と思いながら
こうなれば4時間は我慢するしか
しかたがない
自分で痛みと戦って患部の修復がすすんで
痛みが軽くなるのを待つ
それしかこの状況を脱却できる方法はない
心が決まれば不思議なもので
なんとなく我慢できる気がしてきた
「神は耐えられる試練しか与えない」
まして痛みなどは自分で作っている
危険回避装置なので自分自身が
耐えられない痛みなどないのだ
痛みを無視して寝てしまえ
そう思って自分に暗示をかけて
そのうちに寝てしまった
次に目が覚めたら看護師さんが
痛み止めの点滴をしに来てくれたいた
「かじむらさん、お痛みはいかがですか?」
「アレ?もうそんなに痛くないです」
ほんとうに耐えられないほどの
痛みはなくなっていて多少
動かしても大丈夫な痛みになっていた
痛みは精神状態で感じ方が違うことは
知っていたがそのことを
自分自身で実感した経験だった。
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