• 2022/09/26
  • 院長のひとり言
高齢者の高体温を考える


高齢者の痩せ型女性で体温が高い
しかし特に風邪の症状もなく内科で
診てもらってもどこも悪くないが

現在コロナ禍でどこへ行っても
体温測定されるので困る
こんな人がしばしばやって来る

高齢になると基礎代謝が落ちるし
女性で痩せているので筋肉量が少ないので
低体温になるはずが
逆に37度近い体温が続くのは不思議である

問診で肺や腎臓、膀胱などの慢性炎症や
全身性の内分泌疾患やアレルギー疾患も
ないと言うし

実際に腰痛や肩こりはあるが
少し顔が赤いぐらいで
慢性的な炎症を感じる所見もない

以前からこんな患者さんに出合うと
「うーん、まったく判らない」と
腰痛や肩こりの治療だけしていたが

先日その患者さんが内科の玄関で
転倒されて頭を打撲された
聞くと足がもたついたのではなく
フッとして後方へ転倒したそうだ

痩せ型の高齢女性で体温が高い原因は
「脱水」ではないだろうか?

高齢になるとノドの渇きを感じにくく
自分ではしっかりと定期的に
水分補給しているつもりでも
十分な水分を摂取していないものだ

特に一人暮らしの高齢者の場合は
本人が「ちゃんと飲んでます」と
言うかぎり脱水は発見できない

体温が高いことは免疫学的には
免疫細胞が活発に働いてくれるので
良いことではあるが

基礎代謝が低く筋肉量も少ない
高齢女性が体温を高く保つためには
無駄なエネルギーを必要とし

「易疲労」「痩せ」「倦怠感」など
様々な不定愁訴の原因にもなり
しかも熱中症のリスクも高く
意識障害を引き起こすと転倒の原因にもなる

だから内科で体温が高いだけで
どこも悪くないので大丈夫と言われて
安心していたら危険なこともあるのだ

もしもこのブログを見てくれている
あなたの身近に痩せている高齢女性で
常に体温が高い人がいれば
もしかしたら脱水かもしれないと
教えてあげてください

スポーツドリンクで体温が下がる
かもしれません。


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