• 2025/09/20
  • 鍼灸・東洋医学
脈を診ない鍼灸院に行ってはいけない

35年も毎日患者さんの両手首の
脈を診て診察していると
それだけで患者さんの「虚実」が
分かってくるものである

今朝も検脈しながら
「えらい気血のめぐり悪いけど
何か疲れることしたんですか?」
と言うと

「脈だけで何でわかるの?」
と不思議がられるが

実は鍼医者は患者さんの体の
気血の「虚実」を必ず見極めなければ
鍼を打てないのである

「虚実」などと言う言葉は
普通の日常では聞きなれない言葉だが

中医学では患者さんの精気の状態や
病邪の勢いを表す時に

精気が弱っていることを「虚」
病邪の勢いが強いことを「実」

などと表現している

「虚」は精気が弱っているので
優しく気を補ってあげる治療法(補)

「実」は邪気を体外に放出するような
強い刺激で治療する(寫)

ちょっと専門的過ぎる話だが
要するに「虚」の人は(補)なので
細い鍼で痛くない優しい施術

「実」の人は(寫)なので
太い鍼で強い刺激を与える施術を行う

この(補)と(寫)の施術法の
選択を間違えて「虚」の人に
(寫)の施術をしたら巡りが悪くて
気血が足りなくてつらいのに

さらに気血を体外に放出させてしまい
気血不足が進んで悪化させてしてしまう
結果になる

だから鍼灸治療を行う時には
(補)(寫)のどちらの施術を
施すかを明確にする必要があり
そのために常に脈を診ているのである

鍼灸治療で逆に体調が悪くなる人がいて
鍼灸治療は体質的に合う人と
合わない人がいるように言われるが

基本的に鍼灸治療とは
常に一人一人に対してきめ細かく
脈、舌、腹、顔色、肌艶、香りなどを
診察してオンリーワンの治療で
どんな体質の人にでも匙加減で
合わせるものなのである

だから鍼灸治療で体調が悪くなった人は
鍼灸治療が体質に合わないのではなく
脈も診ずに「虚実」も「補寫」も
無視して誰にでも同じ施術をするような

未熟な鍼灸師に施術されたからであり
そんな未熟な鍼灸師が多いのも事実である

鍼灸師の国家資格を取得しても鍼灸治療を
生業として生計を立てることができるのは
3%にも満たないことを思えば

現実的に効果の出せる治せる
治療家は探さないといないのである

だからそこら辺の脈を診ない鍼灸院へは
言ってはならないのである。



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