- 2019/07/17
- 首・肩・膝の痛み
- 水を抜いても膝が良くならない理由
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2週間前に自転車で転倒して
膝を打撲して当院で応急手当をした患者さんが
あれから特に痛くなかったのでほっといたら
腫れてきたので昨日近くの整形外科へ行ったら
膝には関節液を作る袋があって
膝のお皿の骨が老化によって変形して
その袋を刺激して水がたまったのだと説明を受けて
水を抜いてもらったと言う
診るとすでに水がたまっている
「昨日抜いて、すでに水がたまってますね」
整形外科では
「また、たまるかもしれないので抜きに来て下さい」と
言われたそうだ
1日でたまるのだから抜いてもあまり意味が無い
患者さんは水を抜くことが治療だと思っているようだが
そもそもナゼ膝に水がたまるのだろうか?
この患者さんは79歳の男性で
毎日長時間正座をする職業なので膝関節に変形がある
だから骨の変形によって滑液包という
関節の潤滑液をつくる袋を刺激しているのだ
という整形外科の説明は間違いではないだろう
しかし
この患者さんの場合は2週間前に自転車で転倒して
膝を打撲している
その打撲以前に膝に水がたまったことは1度もない
だとすると
打撲によって皮膚や脂肪組織が挫滅されたり
骨膜に亀裂が入った
それを放置して毎日長時間正座した事で傷口が広がり
炎症がおこり、その炎症によって患部に熱が発生して
その熱を冷やそうとして滑液包が活性化して
膝の関節に水がたまっていると考えるのが妥当だ
だから膝に炎症があり熱がある限り何度水を抜いても
熱を冷やすためにすぐに水がたまる
私たちの体は機械ではなく
1つ1つの細胞が生命をもった動物であり
どこかに不具合があれば体が勝手に行動をおこすのだ
熱があれば冷やすために水をためる
これは火傷でも同じことがおこるので
理解してもらいやすいと思う
火傷をする時は
私たちが熱いと思った時には
すでに反射的に手を引っ込めて危険から身を守っている
そして火傷の患部には瞬時に水ぶくれができる
これは私たちが熱いと気付く前に
体が勝手に危険を回避して
熱を冷やすための冷却治療までやってくれているのだ
患部に水ぶくれができるのは冷やすためで
生命の営みの中で当然の反応である
その事と同じ事が膝でおこっている
膝に炎症がおこっているので患部を動かさないように
熱と痛みを出して危険を教えてくれているのだ
その事を知らずに
水を抜くことが治療かのように思い違いして
整形外科に通っている人がとても多く
「水を抜くと癖になる」などの
都市伝説を信じている人も多いが
膝に水がたまるのは大自然の浄化作用と同じように
私たちの体が膝の熱を冷やそうとしてくれている
痛みは「安静にして炎症をひかせなさい」というメッセージなのです
だから何度水を抜いても膝は良くならない
痛ければ安静にして、熱ければ冷やし、冷たければ温める
私たちの体は大自然と同じように浄化作用を持っているので
その営みを手助けして邪魔しないこと
それが回復への一番の近道なのです
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