• 2022/05/25
  • 院長のひとり言
肩こりにアリナミンが効くのはなぜ?

「痛いの痛いの飛んでいけ!」と
子供の頃にお母さんに痛いところを
さすりながら呪文をとなえてもらうと
不思議と痛みがスーと消えてなくなった

そんな経験のある人も多いと思う

痛みは飛んで行ったり飛んで来たり
しない事は子供でも知っているが
お母さんという信頼している人が
痛いところを撫でさすりながら
「痛いの痛いの飛んでいけ!」
「ほら、もう痛くないでしょ」と言われると

本当に痛く無くなるものなのだ

痛みはウイルスのように外部から
体内に侵入してくるもんではなく
危険を回避するために
体が自分で痛みを作っている

言いかえれば痛みは
体を守るための大事な危険回避装置なのだ

画びょうを踏むと瞬間的に足をひっこめる
そして
犬にかまれた経験のある人は
知らない犬に手を出さなくなる

痛みは危険を回避してそのことを
経験として学習するために
「痛い記憶」として脳に刻まれる

結局、痛みは脳で感じるので
お母さんという最も信頼している人が
痛いところに手を当てて
「痛いの痛いの飛んでいけ!」

「ほら、もう痛くないでしょ」と言うと
お母さんに対する信頼感が痛みの感覚を抑え
脳が痛みを感じなくなるのである

しかも「撫でる」「さする」という
皮膚上の触覚刺激をすることで

「痛み」の感覚が皮膚を刺激する
「心地よい感覚」にすり替えられる

実は脳は痛みの感覚よりもそれ以外の
感覚でごまかすことができるのである

その事は大昔から応用されていて

低周波治療や温熱療法などは
患部に電気刺激や温熱刺激を加えたりして
痛みをその他の感覚にすり替えているのだ

鍼灸治療でも井穴瀉血といって
爪のそばの感覚の敏感なツボを太い鍼で刺して
血を出すような荒療治で猛烈な痛みを与えて
痛みを緩和させる方法がある

マッサージや整体でも同じように
強い症状にたいして強烈な刺激を与えて
一時的に痛みを緩和させる手技があるが
指圧やストレッチなどの侵害刺激は
筋線維や関節を痛めて炎症を悪化させる
可能性が高いのでお勧めはできない

当院ではシップと包帯を指導している
シップは炎症を抑える薬であり
スーとした冷感とカーとした感覚で
痛みをごまかしてくれる

包帯は患部を包み込んで患部の細胞を
安心させてくれるので
お母さんが「痛いの痛いの飛んでいけー」と
言っているような安心感を細胞に得ることができる

本当に包帯で痛みが治まるの?
そんな声が聞こえてきそうだが

例えば骨折するとじっとしていても
ズキズキと眠れないほどの痛みが襲ってくるが
ギブスで固定すると一瞬で痛みがなくなる

これは骨が折れたことで患部の細胞が
骨が折れて大変だから一刻も早く
固定してくれという意味の痛みだったので
固定してもらったことで安心して痛みを
出すことを止めたからである

だから腰痛や膝痛、肉離れなどの痛みは
包帯で包むことで同じように緩和されるのである

このように痛みは患部からの痛みの情報と
脳での痛みの受け取り方で
もの凄く痛かったものが
あっという間に消失してしまうこともあるのだ

最近アリナミンのCMで
「揉んでも揉んでも肩がコル」という
孫悟空や清少納言さんにアリナミンEXαを
勧めるというのがあるが

ビタミン剤で肩コリが治るはずない!
そんな事は子供でも知っていることだが
テレビで有名な香川照之さんが
「肩こりにアリナミンが効く」と
声高に叫ぶことで
「痛いの痛いの飛んで行け―」と同じように

ある一定数の効く人には効くのだと思うのである

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